麻野一哉版「ゲームシナリオの書き方」と「ゲーム業界を志す人へ」2005年11月21日 00:24

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『日本文学ふいんき語り』の著者のひとり、
麻野一哉の講演会を見に行く。
場所は、東京工学院専門学校。武蔵小金井からバスで10分です。
ゲームクリエータ科の生徒さんと体験入学のひとびとを前に
講師の佐藤さんと、対談形式で講演。
聴き手に合わせて
「ゲーム業界に入るまで」
「代表作(「弟切草」「かまいたちの夜」「街」「トルネコの大冒険」など)の制作秘話」
といった題材を中心に、麻野さんらしいサービスと笑いに満ちた1時間でした。

関西から東京に出て来たあたりの話で始まりましたが、
最初どこに住んだかの説明で、
やおら立ち上がってホワイトボードに山手線の円を書き
「だいたい新宿がここで、東京はこのへんかー」
と文字を書き込んだなと思ったら、
微妙にその二点から下にずれたところにへろへろーっと横線をひく麻野さん。
佐藤さん、思わず。
「え? それ、中央線ですよね?」
「は? ちゃいます、東西線ですよ」

なんやそれー!?
まあ、しばらく東西線沿線の寮に住んでたので、新宿のエニックスに遊びにいくのが不便だったって話だったんですが。

いやいや、ボケてるだけじゃなくて、いいこともたくさん言ってましたよ!

会場からの「ゲームシナリオを書くときに気をつけてる点は?」という質問に。

「ゲームシナリオは、散文よりも短歌とか俳句に似ていると思う。
複雑な情報を、いかに短い単語にこめて
プレイヤーに実感をもって手渡すかが勝負どころ」

そこで佐藤さんが
「生徒さんは長いの書きがちなんですよねー」と言うと、

「長いのはダメですね。
説明をえんえんスクロールさしても、プレイヤーは飽きて読まない。
シナリオを書く手順としては、
一回思いっきり長いのを書いてみる。
実際のゲームには出てこないキャラ設定とか世界観とか、もう裏の裏の裏までぜーんぶ書いて、
それを一回捨ててしまう。
そこから書き始める。
シナリオに書くものは、氷山の一角をみせるような感じ。
短いことばなんだけれど、その裏にある世界がさっとわかって、
整合性があるように書くっていうことに気をつけてます」

勉強になるなー。
あと、「最後に生徒たちにゲームクリエイターとしてメッセージを」
というリクエストに、30秒くらい考えて、
「ゲームっていうかもっと広い意味ですけど……」
と、話してくれたこと。

大学でずーっと演劇やってて、『あしたのジョー』やないですけど、
4年で真っ白に燃え尽きたんですよ。
で、就職活動をはじめる時期になっても、オレはできなくて。
まわりの仲間がどんどん内定もらっていっても、
できないっていうか、意味がわかんなかった。

「就職決まった」
「おめでとう、どこに?」
「ガラスの会社や」
「え? おまえガラス好きやったんか! 知らんかったー」

そんな感じで、ほんとに理解できなかったんですね。

学生時代が終わったら、みんな社会にでないといけない。
あるいは、とにかく食ってけるようにならないといけない。
一人前の人間として、みんな就職するもんだ。

そういう世の中の常識みたいなことがオレはわからなかった。

「就職ってそんなもんなの? オレは、ほんとにやりたいことやないと、一生は続けられん!」
でも、それはいったいなんやろう……、
「わからん」と。
で、1年間、就職せずひたすら考えて考えて考えました。
とことんひとりで悩んだ。
いまやったらニートとか言われる状態ですね。
で、「これや!」と行き着いたのが「ゲーム」やったんです。
「ドラクエ」みたいなゲームつくってみたいなーと思ったんです。

ここに集まってるみなさんは18とか19とか若い人たちで、
いまからゲームを学ぼうとしてる人たちなんだけど、
やっぱり「ほんとにゲームかな? ゲームの仕事したいんかな?」
とじぶんにとことん問うことも大切やと思います。
まだまだ、なんどでもやりなおしが聞くので、
ゆっくりゆっくり悩んでいいと思いますよ。


沁みたね。
麻野一哉、マジバージョンも、かっこえかったよ!

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