連載/ゲームクリエイターが話題のゲームを斬る!と「文藝夏号」2006年04月11日 00:39

短期集中で、ふいんきの3人がnikkeibpでゲーム評をリレー連載します。
全三回(月曜日更新) 。
今週は米光一成の
『300万本突破の大ヒット「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズは、脳に効くか?』

来週は「モンスターハンター2」を麻野一哉が、
トリは「龍が如く」を飯田和敏が、たっぷり論じますんで、お楽しみに!
「ふいんき」活動では、本について語ってもらってばかりなので、
三人がゲームをきっちり評したものを改めて読むのははじめてかも。
新鮮です。

話は変わって、最新号の「文藝」夏号は高橋源一郎特集ですが、
「対談 高橋源一郎が愛娘・麻里と語る“家族放浪記”」がすばらしすぎます。
……
……
うーん。
そのすばらしさについて、ここに書いてみようとしばらくあがきましたが、
このなんとも不思議な関係、父と娘の独特な情感を的確に伝えることばをもってないっす。
せひせひぜひ読んでみてください。
対談とか座談会のまとめ仕事多い身としては、こんだけうまいものを読むとちょっとへこむな。

源一郎さんのお嬢さんの橋本麻里さんとはご縁がありまして。
『日本文学ふいんき語り』の3年前に出た
前作『ベストセラー本ゲーム化会議』から応援していただいており、
いろんなところで書評をしていただいたり、
昨年は「ブルータス」の読書特集に企画を通して
「深夜特急ゲーム化会議」を実現してくださったり、
応援してくださるわ教養は深いわ原稿すばらしいわ(おまけに美人だわ)で、
われわれにとってはまさに、

ネ申

のような存在だったわけなのですが、源一郎さんのお嬢さんだと知ったのは、ついこのあいだ。

「深夜特急ゲーム化会議」の取材のあとにいただいたメールの中で、

「父もゲーム化会議のファンなんですよ。親子で応援してます。
父は作家で、高橋源一郎と申します」

「え、ええええええー!?」

みんなでおったまげ、ショック! 祭り状態になったのでした。

その直後『日本文学ふいんき語り』が出たわけですが、
取材などで有名人と似た名前のかたに会うと、
「まさか、あのかたのお身内ではありませんか?」
と、(おもに飯田和敏が)確認してしまうブームがしばらくありました。

こないだの『ダ・ヴィンチ』で源一郎さんと共演できたのも、
もちろん橋本さんのおかげ。
あのページは、ゲーム脳野郎どもと源一郎さんとのコラボであり、
橋本さんと源一郎さんの父娘コラボでもあるという、
感慨深い企画だったのです。
取材の折、おふたりのなんとも魅力的な会話のテンポとか、
親子っていうより、もっと独立した男女のたたずまいというか、
そういう気配を拝見したこともあって、
『文藝』の対談をより面白く感じるのかもなあ。

いや、ほんとにおもしろいんで、読んでください。

あと、ちょっと先の話ですが、また橋本さんのおかげで「ブルータス」の読書特集号(6月発売号)に登場することが決まりました。
ネタはアレですよ、『国家の品格』
ふふふ、こーれは面白くなりそうだあっ!

来週取材なのでまた改めてご報告します。

AA版「走れメロス」ですよ!2006年03月28日 15:34

「走れメロス」がAAですよ!

昨日発売の『小説推理』五月号に、先月4日におこなった「ライブ版 日本文学ふいんき語り」の「走れメロス編」が収録されておる!
全12ページの完全収録!
当日、会場を爆笑の渦に投じた、
スケッチブック2冊にわたる麻野一哉の『走れメロス』手描きAA紙芝居も、かなり紹介。
バカバカしさの一端が伝わると思うので、でっかい書店の文芸雑誌コーナーに走ってください。

bk1の東雅夫さんの連載にも紹介が!
http://blog.bk1.co.jp/genyo/archives/2006/03/post_458.php

『小説推理』
http://www.futabasha.co.jp/?magazine=suiri
(まだ四月号が紹介されてますが、そのうち更新されるでしょう!)

イベントについての関連エントリ
http://kaerubungei.asablo.jp/blog/2006/02/06/242107
http://kaerubungei.asablo.jp/blog/2006/03/10/284601

今日は、麻野さんから資料として送ってもらった、
手描きする前のAA版でさわりを紹介しちゃう。
作成にあたっては、
ストーリーに合うAAを、2ちゃんねるをはじめネット中を探しまわったそうな。
「あ、あのAAがほしい!」と思っても、都合よく見つかるもんでもないらしい。

AAズレまくって見えるでしょうが、
まあ、ふいんきをお楽しみください。

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    ∩_∩   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( ´∀`)< メロスだ!
   (   ) \_____
   | | |
  (__)_)

メロスは素朴で正義感あふれる青年です。
ふだんは村にすんでいますが、妹がもうすぐ結婚するので、お祝いの品を買いに街へやってきました。
ところが……

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             |  |_____
  |         |  | ̄ ̄ ̄ /|
  |         |  |   / /|
  |        /\ |  /|/|/|
  |      /  / |// / /|
  |   /  / |_|/|/|/|/|
  |  /  /  |文|/ // /     ∧∧
  |/  /.  _.| ̄|/|/|/      /⌒ヽ)
/|\/  / /  |/ /      [   _]    ∧∧
/|    / /  /ヽ       三____|∪   /⌒ヽ)
  |   | ̄|  | |ヽ/l       (/~ ∪    [   _]
  |   |  |/| |__|/       三三   三___|∪
  |   |/|  |/         三三     (/~∪
  |   |  |/         三三      三三
  |   |/                    三三
  |  /                    三三
  |/                    三三


街の雰囲気が暗いのです。
昔はあんなににぎやかだったのに……どうしてだろう?
不思議に思ったメロスは、街の人を呼び止めて聞いてみました。
すると、その人がいうことには……。

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 (´・ω・`) <  王様は、人を殺します

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( ゚Д゚) ハア?

メロスは驚きます。「なぜ殺すのだ?」
「王様は人が信用できないのです。王妃も自分の子供も妹も家来も殺しました。今日は6人殺されました」

メロスは激怒しました。

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┌┴┐┌┴┐┌┴┐ -┼-  ̄Tフ ̄Tフ __ / /
 _ノ  _ノ  _ノ ヽ/|   ノ    ノ      。。

       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、   
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-



「生かしておけん!」

メロスは単純な男でした。
そのまま、お城へ行きました。
しかし……

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        (::::::::::)           (::::::::::) <さあ、逝こうか…
         )::::::::(           ):::::::(
        /::::::::::::;\        /::::::::::::; \
       // |:::::::::::: l |       //´|:::::::::::: l |
       | | |:::::::::::: | |       | |  |:::::::::::: | |
        | | /::::::::::::/| |      // /::::::::::::/| |
        U |::::::::::/ U      U  |::::::::::/  | |
         |::::||:::|  | |    | |   |::::||:::|  U
         |::::||::|   | ∧∧//  |::::||::|
          | / | |   ( ゜д゜ )/    | / | |
         // | |   |    /   //  | |
        //  | |   | /| |   //   | |
       //   | |   // | |   //   | |
       U    U  U  U  U     U
               ↑ メロス

あっさりつかまります。
ふところに、ナイフももってたので、ものすごくあやしまれて、王様の前へ連れていかれます。

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          ∧S∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        (・∀・ ) < 王様である!!!
         .[888888]   \___________
        /::::::(S)::::::ヽ
        |:::::::|=|:::::::|
        /::::::/∧ヽ:::::ヽ
       /::::::/_)(_\:::\


王様が、「なにをするつもりだったのだ!」と尋ねると、メロスは「街の人を暴君から救うのだ。人を疑うのは恥ずかしいことだ!」といいかえします。
「口ではなんとでもいえる。お前もえらそうにいって、磔のときに命乞いするなよ!」
「オレは死んでもいい! ただし、妹の結婚式に出たいので三日くれ。三日たったらもどる」
「もうアホかと。バカかと。そんなのダレが信じるのか」

……
こんな感じ。

紙芝居制作から朗読練習まで一週間かけたそうです。
(AAを見つけて保存→ズレ補正して→プリントアウトして→マジックで手描き→
あらすじテキスト作成→該当の絵の裏に貼付ける→毎日朗読練習)

いま、職人さんに、フラッシュ製作を依頼してますので、この続きはまた後日〜〜。

さてさて。
『日本文学ふいんき語り』、おかげさまでレビューがとまりません!
発売中の『GINZA』『婦人公論』でも紹介されてます。レビュアは、われらが豊崎由美大姉! 感謝!

ネット上にも、感想がどんどんアップされており、ありがたい限り。
いろんな方法で検索して読ませていただいてます。
そういう読みかたもあるのかあっ!とびっくりしたり、はげまされたり、うなったりしてます。

そのうち、まとめてご紹介したいと思います!

『日本文学ふいんき語り』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4575298611/httwwwasaneto-22

本屋大賞メッタ斬り!と『東京ぷよぷよタワー』2006年03月10日 16:40

『文学賞メッタ斬り!』コンビ、大森望さん、豊崎由美さんによる
第三回本屋大賞メッタ斬り!連載中です(全六回)

いまのところ、

本屋大賞ノミネート作のメッタ斬りによる予想順位、評価順位発表

作品討論編その1、『東京タワー』『さくら』『ナラタージュ』

がアップされております。
例によってバッサバッサやってますよ〜。読んでみてください。

で、本屋大賞の本命とも噂される『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(リリー・フランキー)は、2/4におこなった「ライブ版日本文学ふいんき語り」(詳しくはこのエントリで)で、ゲーム化にチャレンジ。(写真はプレゼンする飯田和敏)

当日出された3人のゲーム案は、

●麻野一哉

「『東京タワー』の各章の頭についてる、箴言の部分をとりだして、格闘ゲームにする。
題して『vs.相田みつを』。
「バーチャファイター」みたいな画面で、リリーとみつをが闘って、
勝ったほうが好きな箴言を言える。
みつをが勝ったら「にんげんだもの」
リリーが勝ったら「ポケットの中に納められた百円は貧しくないが、
ローンで買ったルイ・ヴィトンの札入れにある千円の全財産は悲しいほどに貧しい」
とか言って見栄を切る。
背景では観客にまじってオカンが弁当もって応援している」


●米光一成

「もうまんまだけど、『NINTENDOGS』の仕様で『NINTENオカン』にする。
タッチペンでオカンの世話をする。
散歩に連れて行くと、勝手にどっかに行っちゃったり、徘徊したりする。
通信で他人のオカンと交換して、世話をしたりする。
キツイけど、これからの時代には必要なゲーム」


●飯田和敏

「『東京タワー』の中で、オカンが『ぷよぷよ』をするシーンがあった。
ここをフィーチャーして、米光さんの手に『ぷよぷよ』を取り戻したいと思う(笑)、
題して『東京ぷよぷよタワー』。
「ぷよぷよ」の画面で、“ボクぷよ”と“オカンぷよ”と“オトンぷよ”が降ってくる。
“ボクぷよ”はふつうに4連鎖で消える。
オトンは、ときどきしかいなくて、すぐにどこかに行ってしまうしまう存在だから、2連鎖ですぐ消えてしまう。
“オカンぷよ”は絶対に消えない。 消えなくて、やがて画面いっぱいに“オカンぷよ”だけが積み上がって、ゲームオーバー。
それが、オカンの位牌になる」

みんな面白かったけど、とくに『東京ぷよぷよタワー』は印象的だったなー。
この叙情、原作を超えたよ、とすら思ったのでした。